変動相場制というのは、為替相場を文字通り市場にゆだねて変動させることです。したがって、完全変動制の場合は、どれほど相場が動いても、中央銀行が市場に介入することはありません。しかし、相場を完全に市場機能だけにまかせようとすると、投機の作用などによって、相場はしばしば乱高下します。そこで実際には、為替相場が大きく動いた時に各国の中央銀行が市場に介入し、為替相場を安定させるようにしています。これを管理変動相場制と呼んでいます。一九七三年初め、欧州為替市場ではドルの大量売りが発生し、各国中央銀行はドルを買い支え切れなくなり、次々と変動相場制(フロート)に移行しました。こうして国際通貨体制は変動制の時代を迎えたわけですが、そのうちに完全変動制、つまり為替相場の決定を完全に市場の需給関係にゆだねてしまうと、いろいろ問題があることがわかってきたのです。その一つが、投機が発生すると相場が乱高下し、実際の貿易取引やその他の経済活動に混乱を起こすということです。この場合、中央銀行が市場に出動して思惑を冷やす必要があるという認識が生まれました。もう一つは、相場がその国の通貨の実力以上に高くなったり、あるいは逆に低くなり過ぎた時には、中央銀行が介入してもいいのではないかという考え方です。七六年一月に開かれた国際通貨基金(IMF)暫定委員会では、先進各国の話し合いにより、完全に自由な変動制ではなく、各国が適宜、市場に介入する「管理された変動相場制」について原則的な合意が成立しました。